大森南朋さんといえば、渋く落ち着いた雰囲気と圧倒的な演技力が魅力の俳優。
そんな彼の“ルーツ”に興味を持ったことはありませんか?
父は舞踏家・俳優の麿赤兒さんとして知られていますが、母については意外と知られていません。
今回は、実は元舞台女優でナレーターという顔を持つ、彼の母についてご紹介します。芸能一家の知られざる背景をのぞいてみましょう。
大森南朋の母はどんな人?経歴と素顔に迫る

俳優・大森南朋さんの母は、小林桃枝(こばやし・ももえ)さんという人物です。
芸能人ではないものの、若い頃に“風月堂の女王ダダ”と呼ばれ、当時の文化人たちの間では伝説的な存在だったことがわかっています(ぷれとーブログより)。
■ “風月堂の女王ダダ”とは?
風月堂とは、1960年代の新宿に存在したクラシック音楽を楽しむ喫茶店で、文化人や演劇人が集まる“聖地”のような場所でした。
ここに頻繁に通っていた小林桃枝さんは、個性的なファッションと立ち振る舞いでひときわ目立ち、「女王ダダ」と呼ばれるようになります。
この「ダダ」は、第一次世界大戦後に生まれた**芸術運動“ダダイズム”**から来たもの。
既成概念を打ち破るような、その自由奔放な生き方が由来だそうです。
桃枝さんは、長野県松本市出身で、高校中退後に上京。
その後、友人宅を転々としながら新宿の風月堂に通うようになり、自然と“ダダ”の名で呼ばれる存在に。

そんなニックネーム、ちょっとカッコよすぎません?
風月堂には、岡本太郎さんや三國連太郎さん、寺山修司さん、そしてビートたけしさんといった著名人たちも出入りしていたそうです。
まさにカルチャーが交錯する最前線にいた女性だったのですね。
■ 芸能人ではない、けれど確かな存在感
小林桃枝さんは舞台女優だったという説もありましたが、明確な出演歴などは見つかっていません。
ナレーターとして活動していたという情報(よろず〜ニュース)もありますが、いずれにしてもテレビなどのメディアには登場していません。
本名も最近まで明かされず、長らく“謎の母”として扱われてきた存在でした。
ですが、2022年放送のNHK「ファミリーヒストリー」で小林桃枝さんの存在が正式に紹介されました。
本人の登場はなかったものの、大森南朋さんのルーツに迫る中で“母・桃枝”の影響が語られ、多くの視聴者に驚きを与えました。

テレビで正式に触れられたって、やっぱりすごい人だったのね。
結婚後、麿赤兒さんとの間に大森南朋さんと兄・立嗣さん(映画監督)をもうけますが、子どもが幼い頃に離婚。
その後は一線から退き、公の場に一切姿を見せていません。
現在は80歳前後とされ、存命ではあるものの、近年の写真などは公表されていません(ぷれとーブログによる)。
知れば知るほど、ただ者ではない“元女王ダダ”。
表には出ないけれど、家庭というステージで、彼女らしい生き方を貫いているように感じます。
父・麿赤兒と母が築いた家庭環境とは

大森南朋さんの家庭は、芸術に囲まれた、とても個性的な環境だったことがうかがえます。
父親の麿赤兒(まろあかじ)さんは、日本を代表する舞踏家であり、俳優としても数多くのドラマや映画に出演しています。
白塗りの姿で印象に残る方も多いかもしれませんね。
アングラ演劇や舞踏という独自の表現に長く携わってきた麿赤兒さんは、1960年代以降、日本の前衛芸術シーンを牽引してきた人物です。
そんな表現者の父と、若き日には“風月堂の女王ダダ”と呼ばれた自由な感性を持つ母・小林桃枝さん。
この2人の元に生まれ育った大森南朋さんが、独特の雰囲気をまとうのも自然なことかもしれません。

なんだか映画の中の家族みたい…ちょっと非日常的。
■ “芸能”ではなく“芸術”に囲まれた幼少期
芸能一家という言葉はよく聞きますが、大森家の場合は“芸術一家”という表現の方がしっくりくるかもしれません。
大森南朋さんは、テレビの華やかな世界とは少し距離を置いた、どこか静かな佇まいが魅力です。
それは、子どもの頃から“表現”が生活のすぐそばにあった家庭環境で育ったからなのかもしれません。
実際に大森南朋さんは、インタビューなどで家族について多くは語っていませんが、その内面の深さから、“言葉にしない美学”を感じさせます。
目立つことよりも、役柄や空気感で“伝える”タイプの俳優ですよね。
それは、表舞台に立ちながらも深く芸術に向き合ってきた麿赤兒さんと、あえてスポットライトを避けてきた小林桃枝さん、両親それぞれの表現スタイルの影響かもしれません。

表に出ない母と、個性を突き通す父…バランスの妙って感じがするわ。
家族というより、芸術ユニットのような独特な関係性だったのかもしれません。
そしてその空気感の中で育った大森南朋さんが、派手さよりも“にじむ存在感”を持つ俳優になったのは、ごく自然な流れだったように思えてなりません。
兄・大森立嗣も映画監督に。芸能一家の全貌

大森南朋さんの才能に感心して調べていくと、驚くべき事実にたどりつきます。
実は、ご家族もすごいんです。
まずお兄さん、大森立嗣(おおもりたつし)さんは映画監督として国内外から高い評価を受けているクリエイター。
代表作には『まほろ駅前多田便利軒』『日日是好日』『MOTHER マザー』などがあります。
人間の弱さや内面に鋭く迫るような作品を多く手がけており、映画ファンからは“演技を引き出す名手”とも言われています。
そして父は舞踏家で俳優の麿赤兒(まろあかじ)さん。
母は、若かりし頃に“風月堂の女王ダダ”として文化人の中でもひときわ目立つ存在だった小林桃枝さん。
弟である大森南朋さんが俳優として名を馳せたのも、こうした芸術的な血の流れが自然と作用していたからこそかもしれませんね。

親も兄弟も全員アート系なんて、ドラマみたいよね。
■ 家庭内で芸術が“生活の一部”だった
きっと、大森家では特別なことではなく、表現することが当たり前のように日常に溶け込んでいたのでしょう。
父は身体で、兄は映像で、弟は演技で、そして母はその土台を黙々と支えていた。
まさに芸能一家というより“表現一家”といった印象です。
特に注目したいのは、母・小林桃枝さんが表舞台に出ることなく、家庭で子どもたちの感性を育てていたであろう点。
自分が風月堂で得た感性や芸術観を、日々の生活の中で自然と息子たちに渡していた可能性は高いでしょう。
見えないけれど確かにそこにある“母の表現力”が、立嗣さんや南朋さんの創作にもにじみ出ている気がします。

育った環境ってやっぱり人を作るのね…。うちも気をつけよ(笑)
ちなみに、映画『まほろ駅前多田便利軒』では、監督・大森立嗣さん、出演・大森南朋さん、麿赤兒さんという、大森ファミリーが共演した作品としても知られています。
家族だからこそ出せる空気感が、あの映画にも色濃くにじんでいました。
そんな一家に育った大森南朋さんが、表現者としてどこか“孤独で、でもあたたかい”空気をまとっているのは、きっと偶然ではありません。
なぜ母の情報は少ないの?非公開の理由とは

大森南朋さんについて調べていくと、父や兄の情報はしっかり出てくるのに、母・小林桃枝さんだけは、名前すら長らく明かされず“謎”に包まれてきた存在でした。
芸能一家であるにもかかわらず、母の顔写真や詳しい経歴が一切出ていないのは、なぜなのでしょうか。
その理由のひとつとして考えられるのが、あえてメディアに出ない方針を貫いた可能性です。
若い頃には“風月堂の女王ダダ”として新宿で有名な存在だった桃枝さん。
でも結婚・出産後はその華やかさを封印し、家庭に重きを置いた生き方を選んだのでしょう。

本当に“出しゃばらない強さ”ってあるのよね、静かだけど芯がある感じ。
■ 息子たちのための“裏方の覚悟”
大森南朋さんや兄・大森立嗣さんが芸能界で評価される過程で、「親が有名だから」「家族の力だ」と言われたくない、そんな気持ちもあったのではないかと思います。
芸能界は、実力よりも“話題性”が先に出る世界でもありますよね。
親や家族のエピソードが過剰に注目されれば、それは時に“足かせ”にもなりかねません。
だからこそ、母・小林桃枝さんは、息子たちの邪魔をしないよう、あえて表に出ないことを選んだ。
その姿勢に、私は静かな誇りと優しさを感じます。

うちの子が何か始めたら…って考えると、見守る覚悟って大切かもね。
■ “見えない母”という存在の重み
2022年に放送されたNHK「ファミリーヒストリー」で、ようやくその名前が明かされ、彼女の存在が多くの人に知られることになりました。
それでも、番組内で本人は登場せず、姿も語りすぎることもありませんでした。
この“距離感”こそが、彼女らしい生き方の表れだったのかもしれません。
出しゃばらず、語らず、でもしっかりと支えている。
“女王ダダ”という異名を持ちながら、母としての人生はまったく異なる静かな歩み。
そのギャップこそが、小林桃枝さんという女性の奥深さなのだと、私は感じています。
まとめと感想|見えないからこそ伝わる“母の力”

ここまで、大森南朋さんのご家族、とくに母・小林桃枝さんについて掘り下げてきました。
印象的だったのは、表に出ていないにもかかわらず、むしろその“見えなさ”が語ってくる存在感です。
彼女は芸能人でもなく、インタビューにも出ず、写真もない。
それでも、息子たちの表現の中に“静けさ”や“品格”、“深さ”のようなものが滲み出ていると感じるのは、やはり母の影響がどこかにあるからではないでしょうか。

人って、表に出ないからこそ伝わるものがあるのね…しみじみ。
■ 家庭という“舞台”で生きた表現者
大森南朋さんの母・小林桃枝さんは、まさに“家庭という舞台”で自分の人生を演じた人だったのかもしれません。
子どもたちを見守りながら、自分はスポットライトの外に立ち続ける。
それは簡単なことではなく、強い意志と優しさがなければできない選択です。
有名じゃなくても、記録に残らなくても、誰かの人生を支える“影の存在”というのは本当に尊い。
今回調べていて、そんな当たり前のことを改めて感じさせられました。

私も「母」って役を、ちゃんと演じられてるかな…ってちょっと考えちゃった。
大森南朋さんのような深みのある俳優が育つ背景には、やはり豊かな家庭環境がある。
でもそれは、お金や地位ではなく、**“静かに支えてくれる人がいる安心感”**のようなもの。
読者の皆さんも、自分の家庭や親子関係にちょっとだけ思いを馳せてみたくなったのではないでしょうか。
家族って、言葉にしなくても通じているものがある。
大きな声では語られないけれど、見えないところで支えてくれている誰かがいる。
そんなことを、この取材を通してしみじみ感じました。